ではこの WWW とは何か. 一言で言えば以下のようになる (1). WWW は 1989 年に CERN (Organisation [旧 Conseil] Europ¥'eenne pour la Recherche Nucl¥'eaire) の Tim Berners-Lee 氏らによって提案された ハイパーテキストの概念に基づく分散型情報システムである. 主な特徴として次のものが挙げられる.
以下では WWW の表面的な特徴, すなわち WWW クライアント側から見た特徴を WWW の実際の 操作の雰囲気と合わせて紹介する.
WWW の表面的な主な特徴は netsurf の感覚とマルチメディア性と オープンであることにまとめられると考える. 例えば, 図-1 は富士通のホームページ (URL は http://www.fujitsu.co.jp/) に WWW クライアントである Infomosaic でアクセスした状態である. この中のアンダーラインが引かれている青い文字列 をマウスでクリックすると, その文字列に関係した情報が表示される. 例えば「富士通紹介」の文字列をクリックすれば, 「富士通紹介」のページが表示される. 文字列だけではなく, 青い枠で囲まれた画像 (2) あるいは画像の一部分を クリックすることにより, その画像あるいは画像の部分に 関係した情報が表示される. これらの青で示された部分が, 他の情報への ``リンク'' に なっている (3). リンクをたどり, 次の情報を表示している部分に再びリンクがあれば, また そのリンクを選ぶことにより, 情報から情報へと, 次々とアクセスしていくこ とができる. このようにインターネットの情報の海を surfing しているよう な感覚が netsurf と呼ばれている (4).
リンクの先は必ずしも WWW サーバ上の文書でなくてもよい. 音声, 静止画, 動画, 科学データ, MIDI データなど文書以外の データや, Gopher, FTP, WAIS などネットワーク上の他のサービスを 指定することもできる. ユーザ側に各々のデータに対応したビューアを準備することで, これらの全てのリソースを WWW という統一された世界で扱える. マウスクリック 1 つで音楽が始まったり, 映像が始まったりするところは「まさにマルチメディア」である.
さらに WWW サーバへのアクセスはプラットフォームを選ばない. Unix Workstation, PC, Macintosh のいずれにも WWW クライアントがあり, イリノイ大学の NCSA (National Center for Supercomputing Applications) で開発された Mosaic や Netscape Communications 社の Netscape が有名である. またキャラクタベースの WWW クライアントも多くあり, 状況によってはグラフィカルなものより便利である.
以上の netsurf の感覚とマルチメディア性, オープンであるなどの WWW の表面的な特徴に加え, 以下で説明する WWW の強力な枠組により, 従来個々の特定の計算機に閉じ込められてきた情報を 簡単にインターネットに提供することが可能になった. これらのことが組み合わさり WWW の急速な発展につながったと 筆者らは考えている.